ウサギ、11歳、未去勢の男の子の症例です。
精巣が大きくなって引きずってしまう、ふらつき、牧草を食べる量が減ってきたとの主訴で来院しました。
右側の精巣が腫大していました。
さらにレントゲン検査や腹部超音波検査で、腹腔内に巨大な嚢胞状のものを認め、中に液体が貯留していました。
嚢胞のサイズがかなり大きかったため、液体の抜去や、嚢胞の全体像の把握、多臓器への転移の確認のため造影CT検査を実施し、
精巣は腫瘍の疑いがあったため外科的に摘出することになりました。
CT検査は原理はレントゲン検査とほぼ同じですが、3D画像でより立体的に病変部位を確認することができます。
今回は腹腔内に連続した巨大な嚢胞が確認されました。
周囲の臓器を圧迫していたため、消化管の動きを悪くしていた可能性があります。
今後も増大が見られる可能性があるため、麻酔下で嚢胞内の液体を抜去しました。
これほど大きな病巣がお腹の中に隠れていても、目立つ症状が出てこないこともあります。
定期的なレントゲン検査や腹部超音波検査では、それらを早期に発見できる可能性があるので
中年齢~高齢のウサギさんの健康チェックは超音波検査など画像検査も含めて定期的に実施していくことをおすすめします。
さらに今回摘出した精巣ですが、左右ともにライディッヒ細胞腫であることが分かりました。
ライディッヒ細胞腫はウサギの精巣腫瘍では最も発生が多いです。
精巣の腫大など症状が出てきた場合は早めに去勢手術を検討しましょう。