6歳オスのデグーの症例です。
右の後肢を齧ったり気にしており、腫れているとの主訴で来院されました。
過去にも肢から出血があり受診されておりましたが、その時は何事もなく良化していたようです。
今回は出血を繰り返し本人も気にして自咬していたため、後肢を保護するために包帯を巻き、カラーを装着して齧れないように管理しました。
練習を重ねて自宅でも包帯の巻き直しができるようになったため、その後は自宅での管理を継続していました。
しかし、傷口からの出血が抑えられず、包帯を外して生活することが難しい状態でした。
カラーを外すと包帯を気にして齧ってしまうことからカラーを外すことができず、1か月間、カラーと包帯をつけて過ごしていました。
後肢の腫れが徐々に増大し、本人も気にしている様子だったので、外科的な摘出に踏み切りました。
右後肢の腫瘤化した部分は指の骨を巻き込んで増大していたため、腫瘤化した第4指を切除する断肢術をおこないました。
手術後の病理検査の結果、肢の腫瘤は線維肉腫であることが判明しました。
線維肉腫は悪性の腫瘍で、転移することは稀ですが、局所再発を高確率でおこす腫瘍です。
今回こちらのご家族様は術後の抗がん治療を行っていくことをご選択されました。
術後、徐々に出血もコントロールできるようになり、
包帯やカラーがなくてものびのびと過ごせるようになりました
ただし術後3ヶ月頃で手術部位が再度腫瘤状に増大し、局所再発が疑われました。
内科治療を継続し、術後5か月以上経過した今もカラーや包帯もなく、元気に過ごすことができているそうです。
悪性腫瘍という結果に屈せずに元気に過ごし、抗がん剤治療を続けている動物さんも多いです。
デグーさんの後肢のケガは比較的多く遭遇しますし、自咬症にまでなってしまう例も少なくありません。
ただし、今回のようにただの炎症や傷ではなく、腫瘍が潜んでいることもありますので
治りにくい怪我など、何かご不安なことがあればお気軽に当院までご相談ください。