犬、セッター、9歳の男の子の症例です。

息がうまく吸えない様子で救急来院されました。

夏に入り、ストライダーや喘鳴と呼ばれる、ガーガーいう呼吸を起こすことが多くなったとのことでした。

 

特徴的な呼吸様式から気管の入り口部分である喉頭という場所に異常が起きていると推測し、検査を進め、

X線透視検査という、X線の動画を撮像できる検査を行い、喉頭麻痺の暫定診断をつけました。

 

呼吸をする際に、空気の通り道である気管の入り口を喉頭と言い、その部位の麻痺を起こし、息を吸いにくい状態になり、呼吸困難を起こしてしまう病態を喉頭麻痺と診断します。

麻酔下での内視鏡観察で診断を確定し、そのまま外科的に整復治療を行うことになりました。

 

術前の喉頭観察所見では、息を吸う際に開くはずの気管入り口(喉頭)が開かなかったり、逆に内側に引き込まれるような奇異性運動という喉頭麻痺に特徴的な所見がみられたため、診断を確定しました。

 

そのまま、気管の入り口を開くための披裂軟骨側方化術(タイバック)という手術を行いました。

 

 

のどの側面から喉頭へアプローチし、喉頭を構成する軟骨同士を結びつけ、結果とて、喉頭内腔を拡げる手術です。

再び内視鏡で、気管の入り口が拡がっていることを確認し、手術を終刀しました。

 

術直後から呼吸状態が改善し、楽に呼吸できるようになりました。

今後は喉頭麻痺の他の病態にたいし、経過観察を行っていくことになります。