猫 異物誤食 紐状異物 消化管切開 | 上大岡キルシェ動物医療センター上大岡キルシェ動物医療センター

猫 異物誤食 紐状異物 消化管切開

消化器

猫 異物誤食 紐状異物 消化管切開

2023年03月11日 投稿者:staff

カテゴリー:消化器 症例紹介

猫 1歳3か月齢 女の子の症例です。

嘔吐しているとのことで来院されました。

嘔吐した中には、紐が認められていたとのことでしたが、どの程度の量の紐を誤食しているかは不明とのことでした。

 

画像検査を実施しました。

超音波検査においては、消化管内腔が拡張し、消化管運動の低下が示唆されました。

また、一部の消化管内腔には紐状異物を疑う所見が認められました。

異物によって消化管が引きつれてしまい、波打つような構造になっている部分もありました。

X線検査でも、消化管の異常構造を疑う所見が認められました。

 

消化管穿孔や腸重積という更なる状態の悪化に陥るリスクもあり、飼い主様とご相談の上、手術で異物を摘出していくこととなりました。

 

開腹し、実際の消化管を確認したところ、異物によってアコーディオン状に小腸が引きつれている様子が認められました。

 

長い紐状異物が胃から小腸まで消化管広域に存在していました。

数か所消化管切開を行い、異物を分断しながら慎重に摘出していきました。

 

 

術後の経過は良好で、特に合併症を引き起こすこともありませんでした。

 

今回の症例に限らず、異物誤食で来院される患者さんは多くみられます。

猫の場合は、グルーミングなどで飲み込んだ自らの毛が毛球という異物となって、消化管閉塞を起こす場合もあります。

 

異物によって消化管が閉塞を起こすと、最悪の場合、消化管壊死、消化管穿孔や腹膜炎、敗血症などを起こし、命に関わってくる状況になりかねません。

小さい異物などを飲み込んだ場合は、うまく便から排出される場合もあるため、経過をみていく場合もありますが、今回のように外科的処置が必要になる場合も多く見かけられます。

外科的処置では、消化管切開にとどまらず、消化管の一部切除が必要になる場合もあります。

 

周囲に誤食しそうなものは置かないなど、飼育環境に注意を払うことが重要となります。

一度誤食を経験すると、誤食を繰り返すことも多く見受けられます。

命を危険にさらさないためにも、常日頃から誤食に注意をしていきましょう。