ハリネズミ 陰部出血 子宮腫瘍 | 上大岡キルシェ動物医療センター上大岡キルシェ動物医療センター

ハリネズミ 陰部出血 子宮腫瘍

ハリネズミ

ハリネズミ 陰部出血 子宮腫瘍

2023年06月16日 投稿者:staff

カテゴリー:ハリネズミ 生殖器 症例紹介 腫瘍

ハリネズミ 2才11ヶ月の女の子です

2〜3ヶ月前から間欠的に血尿の症状があり、当初は内科的な治療で症状は消失しておりました。

同時期に歯茎の腫れを主訴に麻酔下での全身精査と口腔内歯肉の切除生検を実施した際の

超音波検査では子宮の腫れは認められませんでした。

    

歯肉の腫れは切除生検の結果『歯肉の増生を伴う慢性歯肉炎』、

この時点の子宮は腫脹はなく5m m以下のサイズでした。

約2ヶ月後再度血尿とのことで来院されましたが、症状から子宮からの出血の可能性を考え、

再度麻酔下での精査を実施しました。

       

出血痕(左)と排尿痕(右)

 

麻酔下での超音波検査では14mm大に腫大した子宮を認めたため、同日摘出施術を実施

子宮は両側ともかなり腫大しており、慎重に血管などを処理し摘出

  

    

摘出した子宮は病理組織検査に提出したところ

『子宮内膜間質結節』という良性腫瘍であり、切除良好とのことでした。

 

術後の回復も良好で、その後血尿や陰部出血の再発なく過ごせています。

症状からは膀胱炎(血尿)と子宮疾患どちらからの出血か判断しにくいことがあります。

今回は当初、膀胱炎による血尿を疑いましたが、その後は子宮からの出血が疑われました。

ハリネズミは生物学的行動的特徴(丸まってしまう)から、麻酔なしでの一般検査が困難なため症状や体調しだいでは、積極的な麻酔下での精査が必要と考えられます。