フェレット 副腎皮質腺腫、リンパ球性胆管肝炎 | 上大岡キルシェ動物医療センター上大岡キルシェ動物医療センター

フェレット 副腎皮質腺腫、リンパ球性胆管肝炎

フェレット

フェレット 副腎皮質腺腫、リンパ球性胆管肝炎

2023年12月24日 投稿者:staff

カテゴリー:フェレット 消化器 症例紹介 腫瘍

6歳9か月齢のフェレット、去勢済みの男の子の症例です。

他院で副腎の腫大を指摘されたとのことで来院されました。

症状としては、副腎疾患の影響と思われる尾の脱毛はありましたが、それ以外の一般状態は良好でした。

 

超音波検査を実施したところ、左副腎の腫大が認められたほか、肝臓の腫瘤、腹腔内リンパ節の腫大も認められました。

 

  

 

血液検査においても、肝酵素の上昇が認められました。

左副腎摘出に追加し、肝臓生検、リンパ節生検を実施することとなりました。

 

肉眼的にも左副腎の腫大、リンパ節の腫大が確認されました。

  

左副腎は他の臓器を損傷しないよう慎重に剥離を行い、摘出しました。

リンパ節は一部組織を切除しました。

肝臓は、一部が結節状に腫れていました。腫れている部分の組織を一部切除生検しました。

病理組織学的検査において、副腎は副腎皮質腺腫、肝臓はリンパ球形質細胞性胆管肝炎、リンパ節はリンパ濾胞過形成と診断されました。

 

副腎皮質腺腫は副腎の良性の腫瘍です。

フェレットの副腎腫瘍は悪性腫瘍である副腎皮質腺癌が最も多いとされていますが、副腎皮質腺腫、副腎皮質過形成が次いで多いとされています。

副腎腫瘍に関しては、片側副腎摘出後、30%の確率で対側の副腎に異常が発生すると言われています。

こちらに関しては、右側副腎の異常がみられないかを定期的にチェックしながら、経過観察としています。

 

フェレットの肝炎は、原因不明とされています。

無症状であることが多く、組織学的検査を実施することで診断されることが多い疾患です。

今回の症例は、肝炎に関連した症状として、術後に黄疸や腹水貯留などが認められるようになりましたが、現在は炎症抑制の治療を実施し、経過は安定しています。

今後は対症療法をメインとしながら、犬猫の治療も参考にしながら経過を追っていこうと考えています。