5歳11ヶ月齢、オスのウサギの症例です。
体重は880gと、体格はウサギの中では小型でした。
7ヶ月前に他院で精巣腫大を指摘されて両側精巣摘出手術を行い、
病理検査ではセミノーマ(精上皮腫)という精巣腫瘍で、
腫瘍細胞がリンパ管内に浸潤し体内に残っている状態であると診断された既往歴がありました。
少し前から排尿困難で他院を受診し、膀胱の領域に腫瘤があると指摘され、
セカンドオピニオンで当院を受診されました。
画像検査で、膀胱の近くに約3.5cm大の腫瘤(赤マル)を認めました。
腫瘤に対してCT検査と細胞診検査を行い、腫瘤は過去に摘出したセミノーマがリンパ節に転移したものであると判断しました。
細胞診検査
CT検査
この腫瘤が尿道を圧迫することで排尿困難になっていました。
そのままでは生命に関わるため、抗がん剤治療と放射線治療をご家族に提案し、抗がん剤治療を希望されました。
抗がん剤感受性試験を行い、効果が高いと見込まれる抗がん剤を優先的に、4剤を組み合わせた化学療法を行いました。
約半年間の闘病の末に亡くなってしまいましたが、
ご家族のご厚意で亡くなった後に病理解剖をさせていただきました。
エキゾチック動物はまだ病態や治療法が分かりきっていない病気も多いため、
当院では亡くなった後に詳しい状態の把握や死因追求、今後のエキゾチック医療の発展のために病理解剖をお願いする場合がございます。
デリケートな問題のため、無理強いすることは決してありませんが、
病理解剖で分かったことにより今後多くの患者さんたちを救える可能性があるため、
当院の考え方に賛同いただける方はぜひご相談ください。