3か月齢のセントバーナード 女の子の症例です。
数日前に北海道のペットショップからお迎えをしてからずっと、
元気食欲はあるものの、
鼻水と痰が絡んだような咳、軟便を主訴に来院されました。
X線検査では、
気管支壁の肥厚があり、気管支炎を起こしていることがわかりました。
初診時に便が取れず
体温計に付着した粘液で検査を実施しましたが、大きな異常はありませんでした。
症状と検査結果から、
上気道炎・気管支炎の内科治療と共に、
十分な便検査が出来ていない状況ではありましたが、
相談のうえ試験的に消化管寄生虫の駆虫を実施しました。
数日後、咳と痰が絡んだような呼吸は残りつつも、体重は増え、
鼻水は無くなり、便も少しずつ固まってきました。
持参便で再度検査を行ったところ
糞線虫の幼虫がいたので、改めて追加の駆虫薬を院内で投薬しました。
駆虫薬は寄生虫卵には効果がないため、場合によっては数回駆虫が必要となります。
子犬は、免疫力が低く体調が急変しやすいため
現在慎重に経過をおっています。
犬での糞線虫寄生は、無症状で経過することがある一方で、
子犬では下痢・軟便・血便など重篤な消化器症状を示すことがあります。
また、感染経路によっては、
幼虫は皮膚から肺に向かって、呼吸器症状をおこすこともあります。
そして、糞線虫は人にも感染します。
便は感染源ですので、なるべく早く片付けることが、
人への感染と、犬への再感染を防ぐうえで重要となります。
口移しでご飯を与える等の過度なスキンシップはせず、
お世話のあとは手洗いをお願いいたします。
子犬に限らず、新しくおうちに動物をお迎えになった場合は、
便を持参してお気軽に健康相談にいらしてください。