フトアゴヒゲトカゲに発生する動脈瘤は、腫瘤から大量の血液が採取されることが特徴です。

外傷や高血圧や遺伝などが原因として挙げられますが、詳細は不明です。

外科的切除は困難であるため、症例報告は少なく抗菌薬など内服治療が主です。

今回内科治療に反応が乏しかったため、外科的切除を行い、良好な結果が得られた珍しい症例をご紹介いたします。

 

フトアゴヒゲトカゲの症例です。

下顎の腫脹を主訴に来院されました。

画像のように左下顎が腫脹していました。

腫脹した部分の超音波検査を行ったところ、液体の貯留が確認されました。

内部の液体の性状を調べるため、針を用いて採取したところ、採取されたのは血様の液体でした。

内服による治療反応が悪く、貧血による状態の悪化が認められたため、切除手術を行いました。

内部の腫瘤を摘出し、周囲からの出血を電気デバイスを用いて止血しました。

術後は造袋術を施し、一部を開放する形で閉創しました。

術後の外貌です。

 

腫脹はなくなり、貧血も改善されました。

解放部分は肉芽組織で埋められてきており、創部はほとんど目立たない状態となってきております。

この症例においてもやはり動脈瘤を形成した原因は不明です。

挑戦的な治療でしたが、オーナー様にご決断していただいたことで切除術を行うことができたこと、

感染を疑い開放創にて管理したことが奏功し、良好な予後が得られました。