犬、12歳4ヶ月の女の子の症例です。

嘔吐後、元気食欲なくなり受診されました。以前から腎結石、尿管結石の存在が認められていたため、血液検査や画像検査を実施しました。

両側の腎臓尿管に結石は認められるものの、右側の腎盂や尿管の拡張と周囲の出血や尿の漏出による重度の炎症が疑われました。血液検査上も進行性の貧血や腎数値の悪化が見られたため、尿路系の破綻によるものと考え試験開腹を実施しました。

右の腎臓から尿管にかけては多量の血餅などで覆われ、重度に癒着していました。尿管周囲も同様で結石は確認できたものの、尿路の再建は困難と判断し、右側の腎臓尿管摘出を試みました。

 

血管や周囲の臓器に注意しながら腎臓と尿管の摘出を行いました。

 

摘出された右の腎臓と尿管です。

病理検査では化膿性腎盂腎炎、化膿性尿管炎、線維性変化や多量の出血痕などが認められました。

残っている左の腎臓にも同様に結石はあるため、要注意で経過観察中ですが、術後腎臓の数値も順調に下がり、元気に過ごせています。