7歳5ヶ月のオスのウサギの症例です。

10ヶ月前に精巣腫瘍を手術で摘出し、ライディッヒ細胞腫と診断されています。

 

元気消失、食欲低下を主訴に来院されました。

来院時に触診で腹腔内に硬い腫瘤を触知したため、各種検査を行いました。

血液検査では軽度貧血、超音波検査では腹腔内のリンパ節の重度腫大を認めました。

以下の写真の赤丸の中に示されているのが、重度に腫大した腸間膜リンパ節です。

正常であれば 2-3 mm大程度で超音波検査では目立たないはずですが、

この症例では 49 mm× 31 mm大に腫大していました。

針でリンパ節から細胞を採取し、細胞診検査を行った結果、

大細胞性リンパ腫と診断がつきました。

 

これは悪性度が高い腫瘍であり、治療に関しては犬や猫では抗がん剤治療がメインになります。

ウサギではリンパ腫の報告がかなり少ないため、抗がん剤治療の報告自体がかなり少ないですが、

ご家族の方と相談し、プレドニゾロン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、L-アスパラギナーゼ等を組み合わせたプロトコルで抗がん剤治療を行いました。

リンパ腫自体は完治はできない腫瘍ですが、3ヶ月半後に腫瘍が再燃するまでは抗がん剤がよく効き、体調良く過ごすことができました。

 

ウサギは犬猫と違い、まだどの腫瘍に対しても抗がん剤の治療報告が少ないのが現状です。

しかし当院では腫瘍に対して外科治療ができるものは各種外科治療を、

抗がん剤治療が検討できるものには外国の論文を参考にしたり、犬猫での治療を参考にした抗がん剤の提案をさせていただき、ご家族の方と相談した上で治療を行っております。

他の病院で腫瘍と診断され、治療で悩まれている方は、ぜひ当院にもご相談ください。

必要に応じて外科もしくは抗がん剤治療がご提案できる場合はご提案させていただきます。