
7歳1ヶ月齢のモルモットの男の子の症例です。

血尿を主訴に来院され、画像検査で膀胱内に結石を認めました。
モルモットのでは尿路の結石症は非常に多く、治療法は外科手術が第一選択ですが、
高齢による麻酔のリスクがあることと血尿以外の体調が良かったためにご家族が手術については悩まれ、まずは消炎剤を使った内科治療を行いました。
その数日後に急性の元気食欲低下を主訴に来院され、
結石が膀胱から尿道に移動し、尿道閉塞を起こしている緊急状態であることが判明しました。
(下のX線画像および超音波画像の矢印部分が結石)

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結石

膀胱
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結石
1cm弱のサイズの結石が尿道内で閉塞させていることで膀胱内に尿が貯留しすぎて過膨満になり、尿管や腎臓(腎盂)まで拡張している状態でした。
応急処置としてペニスからカテーテルを挿入して膀胱内に結石を押し戻し、
静脈点滴をして本人の状態を安定化させてから緊急手術を行いました。

膀胱
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結石
開腹し、膀胱から結石を取り出し、

膀胱・尿道の洗浄を行なった後に膀胱をしっかり縫合しました。

モルモットの膀胱結石は非常に再発率が高いため、
再発リスクを下げるための処置として追加で精嚢腺(副生殖腺)と精巣も摘出し、閉腹しました。

この子は高齢でしたが無事に手術を終えて、術後はサプリなどで再発対策をしながら毎月検診を行い、
術後2年弱で寿命を迎えるまでの間に膀胱結石の再発なく過ごすことができました。
モルモットの血尿は、男の子の場合は結石症、女の子の場合は子宮卵巣疾患および結石症が原因であることが多いです。
男の子の結石症はサイズによっては今回の症例のように尿道閉塞を起こし、体調が急変して命に関わる状態になることがよくあります。
血尿かな?と気になったら、体調がよくても様子を見過ぎず、早めにご受診いただき、検査を受けていただくことをお勧めします。