
3歳の完全屋内飼育のモルモット 女の子の症例です。
全身の痒みとフケを主訴に来院されました。



特に大腿部の脱毛とフケが目立ちます。
まずは皮膚真菌の培養検査を開始しました。続いて皮膚テープ検査を行いましたが外部寄生虫は検出されませんでした。
しかし、症状からダニなどの寄生虫を疑い駆虫薬であるセラメクチンの塗布1回目を行いました。
第14病日、痒みは少し減りましたが、皮膚のフケはまだ出ていました。
また、やや食欲も低下し便が小さくなってきたとのことでした。
2回目のセラメクチンの塗布を行うと共に、真菌培養の検査結果が陽性だったので抗真菌薬の内服を開始しました。
第25病日、痒みもフケもまだあり、3回目のセラメクチンを塗布しました。
第41病日、以前にもまして激しい痒みの症状があり、鳴きながら体を引っ掻いているとの事で来院されました。
皮膚の深いところを検査する、皮膚掻把試験を行ったところダニの感染を認めたため、以前使っていたものとは別の駆虫薬であるイベルメクチンを投与しました。
第56病日、痒み、フケはかなり減り鳴きながら体を掻くこともなくなりました。2回目のイベルメクチンを投与しました。


フケはほぼ無くなり、軽度の脱毛が残るのみとなりました。
第69病日、痒みがほぼなくなり、発毛傾向が強く認められました。
また、よく食べるようになったことで便の大きさが大きくなってきたとの事でした。3回目のイベルメクチンを投与しました。
第99病日、完全に痒みが消失したことを確認し、治療を終了としました。


大腿部含め全体的に被毛が生えそろいました。
よく食べ、便の調子も良く元気に過ごせているそうです。
今回は真菌と一般的な駆虫薬に抵抗のあるダニの複合的な感染があり、食欲に影響を与えるほどの強い症状を呈しましたが、同時に双方を治療できたことで皮膚は良好な経過をたどり、食欲も無事回復させることが出来ました。
また、完全に屋内飼育でも、我々が外から持ち込んでしまうことや、新しくお迎えした子が原因で真菌や寄生虫への感染が認められることがあります。
ちょっとした痒みやフケ、脱毛でも気になる事があれば早いうちにご相談ください。



