1歳5か月の671gサバンナモニターの症例です。

数時間前にゴム手袋を片方飲み込んでしまった可能性が高く、少し元気がないという主訴で来院されました。

来院時のX線写真では胃内に異物を疑う構造物が確認できました。

 

超音波検査では胃内の高エコー性の異物を疑う所見、液体・ガスの貯留が確認できました。

消化管の閉塞所見は認められませんでしたが、誤食した異物の大きさを考えると消化管閉塞する可能性が高い為、オーナー様と相談の上開腹手術を行いました。

胃の拡張と明らかな異物を確認でき、胃切開により異物の摘出をしました。

オーナー様の稟告通りゴム手袋を摘出しました。

この子は麻酔からの覚醒も問題なく、術後の経過は良好でした。

 

異物誤食の症状としては急性の元気・食欲の低下、嘔吐、吐出、しぶり、下痢、黒色便、血便などが表れます。異物による腸閉塞や腹腔内圧の上昇により腹壁ヘルニアや総排泄孔からの直腸脱などが起こってしまうこともあり、最悪の場合死亡してしまうこともあります。

診断はオーナー様からの稟告とX線検査や超音波検査などの画像検査によって総合的に評価します。

治療は異物が消化管内を通過する可能性がある場合は内科治療や温浴、食餌の変更などにより便と一緒に排泄を促しますが、消化管閉塞の可能性がある場合は緊急状態であるため外科的な手術が必要になる場合が多いです。

爬虫類の誤食で一番多いのは一般的な飼育で使用されている砂やチップなどの床材です。餌に付着し誤って食べてしまっていたり糞便とともに排泄されているのを確認しているオーナー様が多いと思いますが、脱水や消化管の動きが低下する状況下では床材が消化管に停滞し消化管閉塞の状態になってしまいます。予防としては、床材の変更や誤食しないような工夫が必要になります。

また、大型の爬虫類では床材だけでなく手袋や靴下、石やペットシーツなどを誤食してしまった例もあります。

 

誤食の心当たりがある場合や怪しい症状がある場合はすぐに受診することをお勧めします。