症例は1歳のオカメインコです。
飛行中にぶつかってしまい、脚の方向が曲がっているとの事で来院されました。
来院時は左脚を地面につくことが出来ず、外側を向いてしまっていました。
X線検査を行ったところ、左脚脛骨の骨折が認められました。
横向きで見ると、骨折した部分で骨がずれてしまっているのが分かります。
この症例は麻酔のリスクを考慮し、手術ではなく包帯処置で治療する事を選択しました。
このように脚が外側を向かないように調節しながら包帯を巻きました。
少し足を気にして浮かせている様子が見受けられます。
1週間ごとに脚の方向を調整しながら包帯を巻き直し、2週間後にX線検査を行ったところ、
骨はずれてしまっていますが、順調に骨が癒合し始めているのがわかります。
この後も1~2週間の間隔で包帯を巻き直しを行いました。
骨折から約2ヶ月後のX線検査では、骨は完全に癒合しました。
骨はずれていますが、症例自身は問題なく歩行可能です。
足の向きも骨折していない右脚と比べ方向も角度も大きな差はありません。
元気に過ごしてくれているそうです。
今回の症例は手術を行わず、包帯で足を固定する事で治療を行いました。
小動物さんは四肢における負重が軽いので、手術や麻酔のリスクが高い動物や、手術が難しい部位の骨折においてはこのような包帯を用いて治療する方法もあります。
麻酔をかけての手術より大きな負担なく行える治療法ではあるものの、治療に長い期間を要することと、骨の変形までは治療できないこと、厳密な感染管理が必要であること、骨が癒合しなかった場合は断脚という選択肢を取らざるを得ない方法でもあります。
今回の症例においてはこの方法で良好な結果が得られましたが、骨折における治療方法の決定には症例ごとに厳密な評価が必要となります。当院では画像検査と全身状態をもとにそれぞれの治療法から患者様に一番適していると考えられる方法を提案させていただきます。
とはいえ一番重要なのは骨折させないことではあるので、小動物さんと一緒に暮らす際は十分に注意を払って過ごすようにしましょう。