チンチラ 雄 8ヶ月齢の症例です。

自宅で踏んでしまったとのことで夜間救急外来での診察でした。

来院時左前肢からの出血が認められ、患部の弯曲から骨折が疑われました。意識、呼吸などは良好でしたが、全身状態のチェックのため急いでレントゲン撮影を行いました。幸いなことに体幹や肺など臓器の損傷はありませんでした。

左前肢橈尺骨骨幹の斜骨折が認められました。

一見傷は小さく明らかな骨の突出も見られませんでしたが、レントゲン上骨折部周囲の軟部組織内にガス陰影が認められたため開放性の骨折と診断しました。

症例や骨のサイズ、開放性骨折などの状況から、抗生剤による感染の制御をしつつ外固定による治療を選択しました。

副木をあてがっての包帯固定を実施しました。締まり過ぎによる指端の浮腫みなどに注意しながらの治療となりました。

30日後骨増生がみられます

60日後だいぶ癒合してきています

120日後 ほぼ癒合しています

固定を外し、カラー生活からも卒業できました。

若干のゆがみはあるものの物掴むなどの正常な機能を回復することができました。

エキゾチック動物は犬猫と比べても骨質が薄く脆いため骨折しやすいだけでなく、サイズの小ささから一般的な器具の使用や術式が困難な場合もあります。

普段の生活から注意していただくのも大切ですが、万が一起きてしまっても諦めずに辛抱強く治療することが大事だと思います。