トイ・プードル 5歳1ヶ月 去勢雄の症例です。
人の膝くらいの高さからフローリングに落下し、その後、右前肢挙上で来院されました。
来院時は意識明瞭、一般状態は落ち着いていましたが、右前肢は完全挙上していました。
触診では右前肢端の腫脹、疼痛と骨の軋みが認められました。
来院時のレントゲン写真です。
右前肢中手骨(手の甲の骨)が4本斜骨折しているのが確認できます。
ご家族と相談のうえ、外科的整復を行うことになりました。
体重が2.8kgの小型犬であり、骨幅も3mm程度なことから髄内ピンによる整復術を選択しました。
1本づつ骨折部位を丁寧に露出します。
骨折端からピンを先端方向に挿入し、貫通させます。
その後、骨折線を合わせピンを骨全体に挿入し固定します。
ピンを切断し、関節内に出ない様押し込みます。同様の処置を4本行いました。
術後のレントゲン写真です。
外固定(ギプス包帯固定)を併用し、骨の癒合を待ちます。
現在術後1ヶ月が経過していますが、インプラント(ピン)の破綻などは認められていません。
安静にしつつ今後も経過を注意深く観察していく必要があります。
小型犬種は生活空間の何気ない段差などでも骨折が生じることがあるため、ソファーの位置やフローリングなどに注意が必要です。また、爪が伸びていたり、足裏の毛が長いなども怪我のリスクにつながるため、日常的なケアも重要です。