フェレット、6歳6ヶ月齢、去勢オスの症例です。

食欲低下、体重減少、活動性低下を主訴に来院されました。

血液検査では肝酵素の上昇が見られました。

X線検査では明らかな転移所見は認められませんでした。

超音波検査にて肝臓内に20×14mm大の充実性腫瘤を認めました。

腫瘍の可能性を疑い、肝臓腫瘤の細胞診検査を行いました。

採取された細胞は異型性があり、悪性の腫瘍である胆管癌を第一に疑いました。

外科手術を希望されたため、麻酔下でCT検査を行った上で肝臓腫瘤摘出を行いました。

腫瘤は肝臓内の横隔膜付近で外側左葉から内側左葉にかけて跨ぐような位置にあり、外側左葉と内側左葉を摘出しました

約1年前からインスリノーマを発症しており、低血糖に対して内科治療を行っていたため、

今回同時に膵臓腫瘤も腫瘤も4ヶ所切除しました。

病理組織学的検査の結果、肝臓腫瘤は胆管癌(悪性腫瘍)、膵臓腫瘤は膵島細胞癌(悪性腫瘍)でした。

フェレットの胆管癌は発生報告が少ない稀な疾患のため、

抗がん剤感受性検査を行い、最も効果が期待できる抗がん剤を調べた上で術後に化学療法を行っています。

術後5ヶ月間以上経過しましたが、術後から低血糖は見られなくなり、抗がん剤による副作用も特に見られず、体調良好に経過しています。

フェレットの肝臓腫瘍は報告自体が多くはないですが、中には血管肉腫など、放っておくと破裂する可能性がある腫瘍もあります。

高齢になると、気がつかないうちに低血糖(インスリノーマ)を発症し始めている可能性もあります。

早期発見・早期治療が肝心です。

フェレットは比較的腫瘍が多いと言われているため、健康でも年に数回の健康診断をお勧めします。