
ウサギ 2歳3ヶ月男の子の症例です。
首が傾き立つことができないとの事で来院されました。
院内でも眼振や斜頸・ローリングを認め自立歩行も困難な状態でした。
ウサギで動画の様な神経症状を前庭障害といい、エンセファリトゾーン症や中・内耳炎などで引き起こされます。
エンセファリトゾーン症(Ez症)はEncephalitozoon cuniculiという真菌の一種が原因で引き起こされる疾患です。通常は不顕性感染(感染はしているが症状が出てない状態)であり、日本では6割近くのウサギが感染していると言われています。日常生活の変化などストレスがかかった時や体調不良などによる免疫低下などにより発症し、症状としては神経症状(捻転斜頸や眼振、ローリングなど)、眼病変(白内障やブドウ膜炎)、腎不全などが認められるます。
確定診断は死後の病理検査になり、通常は臨床症状、血液検査、画像検査、抗体価検査などを組み合わせて臨床的に診断を行います。
治療としてはフェンベンダゾールという駆虫薬の投与により病原体の感染及び増殖抑制が主体になります。また中・内耳炎を疑場合には抗生剤の投与なども行います。
神経症状が重度に発症してる場合は完全にもとの状態に回復する可能性は高くありません。本症例でも斜頸やローリングによる二次的な角膜障害の治療と一緒にフェンベンダゾールや抗生剤による治療を行い、症状の緩和は見られたものの斜頸などの症状は残った状態です。
予防としてはストレスの軽減が主で、普段の飼育環境をなるべく変えず生活させることが重要です。



