犬、ダックスフンドの12歳の女の子の症例です。

1週間前から腹部が膨満してきていて、排泄後にぐったりしたとのことで夜間緊急来院されました。

 

来院時は粘膜蒼白状態であり、落ち着きがない様子でした。

ショック状態と判断し、画像検査を行い、腹腔内に出血があり、肝臓領域に大きな塊があることがわかりました。

 

肝臓の塊から出血していて、それが持続しているため、生命維持の危機だと判断し、緊急で開腹手術をすることになりました。

開腹し、腹腔内に血液貯留をみとめました。

肝臓外側左葉に巨大腫瘤があり、その表面から持続出血をしていること確認しました。

出血部位を圧迫止血しつつ、外側左葉に流入、流出する脈菅系を結紮し、系統的肝葉切除を行いました。

摘出した肝臓腫瘤は巨大で、内部にも複数箇所出血痕がありました。

肝臓腫瘤の病理組織検査では、高分化型肝細胞癌と診断され、摘出状態は良好であり、完全摘出がなされておりましたため、今後、この腫瘍で困る可能性は低いと考えれる、理想的な結果でした。

 

術後の経過も良好で、貧血や一般状態は軽快していきました。