ハリネズミ、4歳1ヶ月の男の子の症例です。

急性の食欲不振と後肢のふらつきを主訴に来院されました。

触診で腹腔内に約1㎝大の腫瘤を触知したため、画像検査を行いました。

超音波検査にて、脾臓に17mm×13mm大の腫瘤と微量腹水、および腫大した精嚢腺を確認しました。

これらが主訴の原因である可能性が高いと判断し、外科的摘出を行いました。

脾臓腫瘤は他の臓器と癒着を起こしており、出血痕も認められました。

精嚢腺は肉眼的にも腫大・硬化しており、後肢の症状に影響を及ぼしている可能性を考慮して摘出しました。

 

病理組織検査および特殊免疫染色検査にて、脾臓腫瘤は「組織球性肉腫」というハリネズミでは報告の少ない悪性腫瘍、精嚢腺は「過形成」と診断されました。

前例が少なく、確実に有効とされる治療法がないため、ご家族の方々と相談しながら可能な範囲での抗ガン治療を行うことになり、

一時的ではありますが、症状の改善を認め、快適な生活を送ることができました。