インドホシガメ、17歳6か月の女の子の症例です。
陰部から臓器がでているとのことで来院され、
特徴的な粘膜所見から卵管脱と診断しました。
←脱出した卵管 アップ画像
これを体腔内に押し戻すことは不可能だったため、脱出卵管を根元で結紮、切除し、その後、開甲下への手術へと進みました。
慎重に開甲していきました。
腹腔内には大量の卵胞と卵墜して腹腔内に脱出した卵を確認しました。
卵巣ごと大量の卵胞と卵は摘出しました。
卵黄性腹膜炎を起こしている状態でした。
その後、閉腹、閉甲しました。
甲羅が簡単に外れないよう、パテで固定しました。
術後すぐには自力採食不可能と判断し、咽喉頭カテーテルを設置しました。
術後約1カ月後の傷跡はこちらです。
この頃からは自力採食をはじめ、活動性は良化し、排便もみられはじめました。
術後約4か月経った今では卵管脱以前と同様、元気に過ごしてくれています。
手術前には血液検査でのヘマトクリット値(貧血の指標、リクガメの基準値は12~31%)が6%と重度の貧血を呈していましたが、
現在は30%まで回復し、良好な経過を追えております。