バタフライアガマの症例です。

四肢の腫れと食欲不振を主訴に来院されました。

    

特に左前肢の手根関節は顕著に腫れて硬結していました。

右後肢の足底の皮下には白色結節が散在していました。

   

レントゲン検査を実施したところ、左前肢の手根関節、右前肢の肘関節に不透過性が亢進している不整所見が認められました。

   

腫脹している部位の細胞診検査を行ったところ、多数の針状構造物が認められました。

症状と検査所見から、痛風と診断しました。

 

痛風とは、高尿酸血症が持続することによって、臓器や関節に尿酸ナトリウム結晶が沈着して痛風結節が形成され、炎症や機能障害が引き起こされる疾患です。

体内の窒素代謝産物を尿酸として排泄するトカゲなどの爬虫類に多く認められます。

 

脱水を含む腎機能障害、腎毒性の可能性がある薬剤の投与、局所の炎症、不適切な温度や食餌での飼育が原因として考えられています。

 

高尿酸血症の管理と症状の緩和が治療となります。

具体的には、輸液療法や、尿酸合成阻害剤の投与、消炎鎮痛剤の投与が挙げられます。

 

今回の症例も輸液療法と投薬を行いつつ、経過を追っています。

 

爬虫類を飼育されている方は、適切な環境や食餌で飼育されているか再度確認していただきたいと思います。

関節の腫れなどの痛風を疑う症状が認められた場合は、早めの受診をお勧め致します。