MIX犬、12歳、避妊済みの女の子の症例です。

 

半年前に肺に腫瘤が見つかっており、3か月前から咳やレッチングなど呼吸器症状がでてきていたため当院を受診しました。

 

検査の結果、肺の腫瘤から分泌された液体によって今回の呼吸器症状が発生していることが分かりました。

腫瘤は心臓に接着するように存在していることが疑われ、心臓が右側に圧排されている様子でした。

 

   

 

 

肺以外に明らかな腫瘤性病変は見つからなかったため肺原発の病変と判断し、手術にて切除することになりました。

 

肺の手術は開胸手術でおこないます。

この症例は肺左側の後葉を摘出するため、胸部正中と左側肋間の2か所を切開して、開胸していきました。

 

   

そして、腫瘤の発生した肺を肺葉ごと切除していきました。

 

 

 

 

術後は胸の中に水が溜まらないようにドレーンチューブを設置していましたが、数日でドレーンチューブも必要なくなるくらいに胸の中の水もすくなくなりました。

術後に撮影したレントゲン画像では肺の腫瘤がなくなり、大変良好な経過で元気に退院していきました。

 

     

 

肺に発生する腫瘤性病変は、感染による膿瘍や、肺原発の腫瘍、遠隔転移して発生した腫瘍などが疑われます。

前者の2つの場合、治療の第一選択は外科的に摘出することが望ましいとされています。

レントゲンやエコー検査のみでは肺野の十分な評価が難しいのですが、当院ではCT検査を併用することで、より確実に肺野の病変部を確認し開胸手術に備えることができます。

 

今回の症例もCT検査を実施したのちに開胸手術をおこないました。

さらに、摘出した肺の病理検査結果から肺腺癌であることが判明し、術後から抗がん剤を開始することになりました。

 

摘出した肺腫瘍

現在も抗がん剤の治療を頑張りながら元気に過ごしてくれています!

肺の腫瘍と聞くと大変難しく感じられるかと思いますが、検査によってわかることも多く、治療の幅も広がります。

難しい手術だからと諦めてしまう前にぜひ一度ご相談ください。