犬、ヨークシャーテリア、13歳の男の子の症例です。
若齢時より咳込むことがあったが、一か月前より急性に呼吸の悪化がみられ、近医にて対症治療を行っていましたが、改善がないため当院に来院されました。
来院時の呼吸状態です。
激しい吸気困難が確認されました。
X線検査では、頸部気管内に腫瘤性陰影、頸部の気管虚脱が確認されました。
酸素室に入っても呼吸の改善がないため、気管内腫瘤を切除し、虚脱しつぶれてしまっている気管をPLLPで拡げることを目的とした外科治療を行うことになりました。
術前の麻酔下内視鏡動画です。気管の入り口である喉頭から、腫瘤が出入りしていることが確認されました。
さらにその奥の頸部気管は強度に虚脱しておりました。
気管を切開し、腫瘤を切除したのち、インプラント埋め込みPLLP手術を行いました。
術後の気管内視鏡です。
腫瘤が消失し、気管が拡張したことが確認できました。
術直後から呼吸の改善が見られました。
術後は順調に回復し、咳や呼吸困難はなく、健やかに暮らせています。
気管内腫瘤の病理検査結果は炎症性ポリープでしたので、術後治療も必要ありませんでした。