
8歳のシーズー、女の子の症例です。
2~3ヶ月前から舌が赤いとの事で来院されました。
口を開けると、舌の中央が赤くなり腫れているのが確認されました。
食欲含め一般状態は問題ありませんでした。
初診時の舌の様子がこちらです。

感染、炎症の他に腫瘍の可能性も疑い、麻酔下で舌の生検を実施しました。
舌の一部の組織を採取し病理組織検査に供したところ、舌のT細胞性リンパ腫と診断されました。
まずはステロイドでの治療を開始しました。
ステロイドを始めて約2週間後の舌の様子です。

さらに約1か月後の舌の様子です。腫脹部位はなくなりました。

さらに2か月後の舌の様子です。舌の一部が発赤してきました。

ステロイドを増量するも、さらに舌の発赤範囲が広がってきました。

再度腫脹し、悪化傾向が認められたためご相談の上で内服の特殊な抗ガン剤であるクロラムブシルを用いた治療を開始する事になりました。
抗ガン剤を開始し1か月後の舌の様子です。発赤部位が縮小してきました。

そして初診日から5ヶ月経過した現在の舌の状態はこちらです。腫れ、発赤共に認められません。

抗がん剤の大きな副作用もないため、今後も慎重に治療を続けていく予定です。
リンパ腫は血液のガンの一種です。
今回は舌に発生した珍しいタイプをご紹介しましたが、全身どこでも発生する可能性があります。
体の表面のリンパ節が腫れるタイプや、内臓など見えない部分が腫れるタイプなど種類は様々で、
リンパ節の腫れ以外に発熱や元気消失、食欲不振、下痢、嘔吐など伴う症状も様々です。
早期発見は早期治療にも繋がります。
なんとなく元気がない、なんとなく食欲がないなどの細かい変化でも、気になる事がありましたら気軽にご相談ください。