6歳のデグー、女の子の症例です。

4か月前くらいから徐々に左後肢が腫れてきて、動きが悪くなってきたとの主訴で来院されました。

来院時の左後肢の状態がこちらです。毛に隠れていますが、15㎜大に腫脹しています。

だんだん大きくなっていることから、腫瘍を疑い切除手術をご提案しました。

腫瘤自体が大きかったことから、腫瘤のみの切除と完全切除を目指して左後肢ごと切断する断脚術を提示し、ご家族の 脚は残してあげたい とのご希望により腫瘤の切除術を実施しました。

切除9日後の状態がこちらです。腫瘤を切除した部分が盛り上がってきています。

切除21日後の状態

切除35日後の状態

切除40日後には明らかな再発を認めたため、再度ご相談の上で完全切除を目的とした断脚手術を実施する事にしました。

左後肢を股関節の部分から切除しました。切除後の創部は良好でした。

切除した足を病理組織検査に提出したところ、線維肉腫という悪性腫瘍でした。

術後しばらくはバランスがとりづらい様子でしたが、徐々に慣れていき、現在は20㎝くらいの高さなら飛び乗れるようになったそうです。

現在、手術後50日経過しましたが再発はなく元気に過ごしてくれています。

線維肉腫は転移は稀ではありますが、局所で再発を起こしやすい腫瘍です。

今回の症例は後肢に発生した腫瘍ということもあり、1回目の手術で完全な切除を行うことが不可能でした。

そこで、2回目の手術はご家族に断脚を決断いただき、行ったことで腫瘍の完全な切除を果たすことが出来ました。

腫瘍の発生する場所や、転移しやすいもの、局所で再発しやすいものなど腫瘍の種類により治療法はさまざまです。

当院では適切な治療法をご提案し、ご家族と相談しながら治療を進めていきます。

ただし腫瘍のサイズが大きくなりすぎてしまうと、治療が難しくなってしまう場合もあるので、気になるできものや腫れがあったらお早めに獣医師にご相談ください。