ハリネズミ、2歳8か月の男の子の症例です。

左眼の発赤、眼球突出、眼出血を主訴に来院しました。

 

まずは感染や炎症を疑い内科治療を行いましたが、良化が認められなかったため、

麻酔下にて全身の検査および左眼の摘出手術を行いました。

血液検査とX線検査における異常は認めませんでしたが、超音波検査で眼球後方に腫瘤が認められました。

摘出直前の左眼は角膜が穿孔し、眼球内容物が突出する、「デスメ膜瘤」と呼ばれる状態になっていました。

 

悪性腫瘍を疑っていたため、眼球だけでなく眼球周囲の組織ごと摘出しました。

病理組織検査では、「眼球内メラノーマ」という悪性腫瘍と診断されました。

一般的に、ハリネズミにおける眼球内メラノーマの発生報告は少なく、稀な疾患とされており、詳細な予後経過はわかっておりません。

しかし、当院では過去に複数例経験をしており、それら全例において、術後の経過は良好です。

本例も、術後順調に回復し、現在も定期的な経過観察を行っております。