ウサギ、10歳6か月齢、男の子の症例です。

 

精巣のサイズが大きくなってきたとのことで来院されました。

左側の精巣が右側の精巣に比較して腫大しており、右側の精巣は萎縮していました。

腫大化した左の精巣は精巣腫瘍が疑われました。

 

高齢のため、高い麻酔のリスクはありましたが、飼い主様とご相談の上、外科的に精巣を摘出する手術を行うことになりました。

 

左側の精巣は陰嚢の皮膚ごと切除、摘出しました。右側の精巣は皮膚を切開し精巣のみの摘出を行いました。

 

 

 

病理検査結果では、左側の精巣はライディッヒ細胞腫という腫瘍と診断されました。

ライディッヒ細胞腫は一般的に良性腫瘍と考えられていますが、ごくまれに悪性腫瘍として発生する場合もあります。

 

今後は精巣腫瘍が悪性の挙動を示す可能性も考慮し、全身への転移がないかどうか、定期的に画像検査を行っていく予定です。

 

ウサギの精巣腫瘍の発生は比較的低頻度とはされていますが、犬猫と同様に様々な種類の腫瘍の発生が報告されています。

精巣腫瘍自体の発生、それに伴う合併症の発生を避けるために、ウサギにおいても予防的な去勢手術が有効と考えられます。