チワワ、10歳の男の子の症例です。
1年前より発作性に咳をしていました。
興奮時や飲水時にむせ、それが咳へとつながる様子で、咳込みが続くと呼吸が困難になるほどでした。
気管支拡張薬、抗生剤の内服で咳は落ち着いていましたが、経過確認のX線検査にて、頚部気管の狭小化に進行が見られはじめました。
そこで、PLLP(気管外プロテーゼ)を用いた頚部気管虚脱整復手術を行いました。
術中所見では、頸部気管全域にわたる気管虚脱が認められました。
PLLP装着後、気管の整復が完了しました。
術直後から呼吸状態良好、発咳もなく、症状の改善を認めましたが、
X線検査画像所見では、気管が拡張しきらず、部分的に虚脱が残りました。(下図)
その後、時間経過とともに、気管が徐々に拡張してきました。(下図)
術後一カ月半のX線検査にて、完全に拡張した気管が確認できました。(下図)
症状を消失しており、経過良好です。
今回は高齢で、気管虚脱状態が慢性的長期的に持続していた経過があるため、整復した気管が拡張しきるのに時間がかかったものと推察しております。