フェレット、4歳4ヶ月、避妊済みの女の子の症例です。
副腎腫瘍による脱毛、排尿障害にたいし、ホルモン注射の治療を受けたが改善がなく、外科治療を希望され、当院を受診されました。
副腎腫瘍の症状として特徴的な脱毛、外陰部の腫脹がみられました。
各種検査により、右側副腎の顕著な増大(11mm)、低血糖、肝臓内腫瘤、子宮断端蓄膿が検出されました。
副腎腫瘍からの性ホルモン過剰による脱毛、尿路障害であると判断し、右側副腎摘出、膵臓腫瘤摘出、肝臓腫瘤摘出、子宮断端膿瘍摘出を目的に、外科治療を行うことになりました。
腹部正中切開に加え、右側傍肋骨切開を行い、術野を大きく展開しました。
画像検査所見の通り、右側副腎の腫大しており、さらに変形、変性が著しく、近接する後大静脈に強く癒着していたため、慎重に剥離を進めました。
その後、肝臓の腫瘤を摘出しました。
続いて、膵臓を確認し、2から4mm大の腫瘤を4つ摘出しました。
最後に、子宮断端部の膿瘍を切除します。
穿刺し、できるだけ貯留液を抜去した後に、周囲構造である尿管や血管、神経に注意しながら、可能な限り、切除しました。
大きな出血もなく、無事閉腹し、覚醒してくれました。
術後経過は順調で、血糖値も回復し、排尿状態も良好であり、徐々に発毛が見られました。
毛が生えると健康的に見え、ご家族の方もご安心されておりました。