フェレット、5歳、4ヶ月齢の去勢雄の症例です。
毎年春のこの時期に健康診断でフィラリア検査と血液検査を実施していました。
例年は血液検査結果に大きな異常はみられませんでしたが、今回は低血糖(血糖値63mg/dL)が見つかりました。
経過の中でインスリノーマを疑い、内科治療で経過を追っていく中でも低血糖は進行し、
ふらつきなどの低血糖に伴う症状がみられる様になったため手術を行うことになりました。
開腹下で膵臓に腫瘤が多発していることを確認し、1つずつ慎重に摘出していきました。
この症例では膵臓の腫瘤数が多く、合計で10個摘出しました。
病理組織学的検査結果は膵島細胞腺腫、つまりインスリノーマでした。
術後はふらつき等の症状もなく、安定して過ごしてくれています。
インスリノーマはフェレットで最も発生率が高い腫瘍です。
内科治療もできますが、長期間ステロイド治療が必要になってしまい、副作用に注意していかなければなりません。
当院では、インスリノーマに対して内科治療と外科治療、どちらもご提案できます。
その子に合わせた最善の治療をご提案させていただきます。
この症例では、低血糖発券時にはインスリノーマでよくみられるふらつきや痙攣、流涎などの
症状はみられておらず、定期的に健康診断のための血液検査をしていたからこそ、
無症状のうちにインスリノーマを偶発的に見つけ、早期に治療開始をすることができました。
フェレットも、最低でも1年に1回は、血液検査をお勧めしています。
特にこの時期はフィラリア検査も同時に行うことができます。
まだ今年のフィラリア予防を始めていないフェレットさんには特にお勧めなので、ぜひご相談ください。