フクロモモンガの女の子の症例です。

腹部からの出血があり、来院されました。

腹部にある育児嚢(出産した赤ちゃんを入れて育てる袋)の内部に腫瘤が見つかり、細胞検査にて悪性腫瘍を疑いました。

その腫瘤を気にして本人が齧ってしまったために出血した痕跡がみられました。

 

4日後に麻酔下で育児嚢内の腫瘤を摘出する手術を行いました。

手術前↓

 

手術中↓

 

手術後

 

術後は傷を齧らないようにエリザベスカラーを装着しました。

病理組織学的検査結果は「乳腺癌」でした。

 

フクロモモンガは腫瘍が少ない動物として知られ、その中でも乳腺癌の発生報告はごくわずかとされています。

早期手術とその後の抗がん治療を組み合わせ、この子は術後10ヵ月経過する今までもさまざまな体調を乗り越えて闘病を頑張ってくれています。

当院では現在、3匹の乳腺癌のフクロモモンガさんの術後治療を行っています。

乳腺癌は雌のフクロモモンガでは育児嚢の中に発生するため、よく触らないと発見が遅れてしまう可能性があります。

フクロモモンガを飼育されている方は、よく体を触ってあげて下さい。

もし体調面で異変を感じた場合は、早めに当院を受診することをおすすめ致します。