フレンチブルドッグ、1歳の女の子の症例です。
犬種としての宿命とも言える、短頭種気道症候群により、生まれてからの間、呼吸の症状に苦しんでおりました。
鼻の孔が狭く、鼻から息を吸うのが辛い。
喉にある気管の入口周囲の肉(軟口蓋といいます)が伸び、垂れ下がってしまい、吸気時に気管を塞いでしまうので、ここでも息を吸うのが辛いといった状態でした。
夏場には暑さにより余計に呼吸が荒くなり、熱がこもり、熱中症を起こしてしまったこともあったようでした。
そこで夏を迎える前に、空気の通り道を広げる手術を行うことになりました。
麻酔をかけていき、意識が消失すると同時に喉の奥を確認していきます。
軟口蓋が伸びきっていて、気管の入口が確認できません。
なんとか気管チューブを挿管し気道確保しました。
この状態で、軟口蓋の過長部位を切除します。
軟口蓋の過長部に縫合糸をかけて引っ張りながら、過長部を切除していきます。
切除後は気管の入り口である喉頭蓋が良く観察されます。
つづいて、狭い鼻の孔を広げます。
線のように細い孔で、これでは楽に息を吸えません。
両側が対象になるように、余剰部位を切除し、形を整復し、孔の面積を広げました。
気管チューブを抜いた後に再度、喉を奥を確認し、楽に息が吸えるようになっていることを確認し、手術は終刀です。
麻酔の覚醒も順調で、その後、いびきやガーガーする呼吸は見られなくなりました。
呼吸も楽そうで、これなら暑い季節も心配なさそうです。
これからだんだんと暑くなってきますので、短頭種は要注意です。
呼吸症状でお困りの場合は、早めにご相談ください。