1歳8か月齢のフクロモモンガ 男の子の症例です。

陰茎の先端が脱出したままになり、自分で咬んでしまうとのことで来院されました。

陰茎の先端は壊死を起こしていました。

ご家族さまが去勢手術も希望されていたこともあり、麻酔下で去勢手術とともに壊死している陰茎を切断する処置を実施することとなりました。

 

陰茎は、近くに存在している尿道を損傷しないように注意しながら、糸で結紮した後に切断しました。

      

去勢手術では、精管や血管を結紮離断し、睾丸を摘出していきました。

術後は手術部位を自傷しないように、エリザベスカラーを装着して退院となりました。

  

術後の経過は良好でした。

 

フクロモモンガの雄では、興奮時などに、陰茎の脱出が認められることがあります。

通常では自然に戻ることが多いですが、ストレス下にある場合や他に疾患がある場合などは、元に戻らなくなり、自傷してしまうこともみられます。

脱出を繰り返したり、陰茎自体に炎症や自傷、壊死が認められるような場合には、今回のように外科的な処置が必要になることもあります。

 

去勢手術を行うことで、精巣関連の疾患の予防および望まない繁殖を予防することができます。

また、自傷の原因として、性的ストレスの可能性も考えられており、去勢手術を行うことで、症状が軽減する可能性も指摘されています。

 

フクロモモンガの去勢手術を考えられている方は、いつでもご相談ください。