ミニウサギ 6歳9か月 雌の症例です。

2日前から便が出にくくいきんでおり、肛門から腫瘤が出ている時があるという主訴で来院されました。

便は出ているが少なく、元気や食欲も落ちているとの事でした。

腹部超音波検査では膀胱背側の直腸内に腫瘤が認められました。

 

検査後に院内でもいきんでおり、直腸から腫瘤が一時的に脱出しているのが確認出来ました。

 

相談の上、精査と治療のために麻酔下でのCT検査、細胞診検査または生検を試みました。

CT検査では直腸内に腫瘤が確認できましたが、排便が見られていたため部分閉塞と判断しました。

 

その後肛門から内視鏡を挿入し内視鏡下で腫瘤を確認し鉗子で把持し直腸外へ牽引し結紮離断しました。

 

 

直腸内の内視鏡画像です。腫瘤を認識し鉗子で掴んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

内視鏡下で鉗子で掴んだ腫瘤を直腸外へ牽引してます。

 

 

 

 

 

 

腫瘤を糸で結紮しています。この後腫瘤を切除しました。

 

 

 

 

 

病理検査結果は炎症性ポリープと診断されました。

 

術後は排便もできており一般状態も良好な経過を終えています。

今後も再発に注意しながら、経過観察をしていきます。

 

肛門・直腸付近に発生する腫瘤の鑑別疾患は炎症性ポリープ、直腸肛門乳頭腫、直腸の外反、肛門腫瘍(平滑筋肉腫)などがあります。

肉眼的所見と発生部位から仮診診断し病理検査結果にて確定診断します。

症状としてはいきみ、排便障害、盲腸便の肛門周囲への付着、会陰部の過剰なグルーミングなどが見られます。

再発の可能性もありますが、症状の緩和や完治が見込めるため気になる症状がある方は早めの来院をお勧めいたします。